普段Cinema4DでRedshift Renderを使用している。
その際にPostFX>DisplayModeをOCIO:ACES sRGBにしていてその色をとても気に入っている。
今回はさらに一歩進めて、AeでACES sRGBを使用しつつコンポジットするための流れを調べてみた。
※あくまで操作の流れということと個人的なメモなので参考までに
OCIOとACES
- OCIO:SonyPictures Imageworksが開発したシステムで、簡単にカラースペース変換できるもので、AfterEffectsでもプラグインというかたちで使用できる
- ACES:カラーマネジメントの仕組みで、OCIOを利用することで使用することができる
※詳細は「シーンリニアワークフロー/ACES」といったワードで検索してみてください

メリット
- リニアワークフローとなるので、色の調整の自由度が高い
→一見白飛びしているような部分もExposureなどでデティールを取り戻せる
- 他の実写素材との合成も自然になる……らしい
デメリット
- 16bitFloatのOpenEXRでよいっぽいが、Aeでは32bitでないとリニアワークフローを導入できない
→書き出しが重い? - 下準備が若干面倒
ワークフロー実践
C4Dでレンダリングするまで
作業中の設定
- 最終のイメージに近い状態で作業したいので、RedshiftRender>PostFX>OCIO:ACES sRGBにして作業する
- 他のPostFX(bokeやFlare、Streakなど)はAOVとして書き出せないのでなるべく使わない。使ってもAeで再現するための雰囲気確認として使用する
- PostFX>Exposureは使わない!Beautyにしか影響しないため、色や明るさなどがDiffuseなどと開きができて面倒
- PostFXはDisplayMode以外はレンダービューからではなく、Redshift Camera Tagを使用したほうがよい →後述するが不要なPostFXを切るのに楽
レンダリングの設定をする
※必ず小さなサイズでテストレンダリングをしてAeに読み込んでおかしくないかを確認すべし
- PostFXでDisplayModeをLinearにする

- 他のPostFXを切る(Redshift Camera Tagのついたカメラを使用しているなら、それを複製し、タグだけ削除すれば楽)

- マルチパス書き出しをONにしてOpenEXRを選択

- AOVはすべて32bitにする→Aeで32bit画像として認識される

確認用としてACES sRGBにしたものを表示させられるようにCinema4Dは起動しておいたほうがいい。
難しい場合は、小さなサイズでよいのでACES sRGBのものも書き出しておく。

Aeでの合成
- exrを読み込む。(コンタクトシートも一緒に作成してくれる!)
- ProjectSetting>Color>Depthで「32bits~」にする
- Working Space>「ACEScg~」にする

- View>Use Display Color Managementをオフにする
→この状態でexr:BeautyがC4DのRenderView(Linear)の画と一致していればok。リニアな状態で表示されているということになる

- exr:Beautyと各AOVの合成結果が一致するようにする(AOVでのBeautyのコンポジットは別の記事で)
- 調整レイヤーを一番上に作成し、OCIOエフェクトを適用し、exrをACES cg->ACES ccに変換する

- 調整レイヤーを更に上に作成し、OCIOエフェクトを適用し、exrをACES cc->Output sRGBに変換する
→C4Dの作業中(ACES sRGB)の画と一致していればok


リニアワークフローでのカラコレ
- OCIOでACES ccに変換がされる前までがリニアな状態なので、そこまでで調整をする
- もし実写素材と組み合わせるときはACESccに変換して、Output sRGBの変換が掛かる前までで調整したほうがいいっぽい
- 各AOVに分かれているので、要素ごとにExposureやCurvesなどでつめていく
- 各AOVはそれぞれCompになっているはずなので、ガイドレイヤでOCIOを適用したふたつの調整レイヤを入れておくと作業しやすいかも
以下よくやりそうな処理の仕方をまとめてみた
DeepGlow
基本的に光っている部分だけにかかればいいので、ReflectionやGI、Specularあたりにかけると良さそう。
Threshold(しきい値)でグローのかかる範囲を調整する。
C4Dの素材以外と合成する場合は、おそらく一番最後にコンポジットするのが正しいのだと思う。
ColorCorrect系:Exposure/Curves/Coloristaなど
リニア段階が一番劣化が少ない。
合成後の調整は前述したとおりOutput sRGBより前に。
ただし、ACES ccに変換されているときは彩度が低く、sRGBに変換されてから突然緑青系が強くなる(ように個人的に感じる)ので、限定した色を抑えたい場合はsRGB後にLumetriやColoristaを使用するのも個人的にはありな気がする。

感想
ここまで書いてきてなんだけど、純粋にコンポジットだけならFusionのほうがわかりやすいかもと思っている。
ノードベースになれてくると、レイヤーがちょっと面倒に感じる。
Redshift Object IDを利用して、AOV:Object書き出しもFusionだとコンポジット時にObject IDを指定できるし。
でもAe使い慣れているんだよなあ。。と葛藤がある。